炎症を抑える

病気にならないための3ヶ条 その2です。

【慢性炎症は万病の元】

1.そもそも炎症とはなにか?

体が侵襲的な刺激(※)を受け、細胞や組織が損傷した際に、これらを取り除いて再生するために起こる生体防御反応の一つ。

※侵襲的な刺激
火傷や凍傷などの物理的刺激や、薬品接触などの化学的刺激、ウイルスなどの微生物の感染

炎症はこれら有害な刺激から体を守るために白血球が戦っている状態。

炎症が起こっている場所では赤みがさし、熱をもち、腫れあがり、痛みを感じます。
――― 発赤、熱感、腫脹、疼痛 = 炎症の 4兆候 ―――
(これに機能障害をプラスして 5兆候ということもある。)

炎症(inflammation)は、この「赤く腫れ上がって熱を持った状態」を、炎(flame)の燃える様子になぞらえた言葉。

この反応が正しく収束すると、刺激や異物が取り除かれ、傷ついた細胞は修復されて、生体は元の状態に戻ります。
よって、炎症は一過性であることが正常(急性炎症)

つまり、(急性)炎症が起こるということは、正常に免疫機能が働いている証拠。

そのため、薬などで炎症を過度に抑えてしまうと、治癒が遅れ、炎症や疼痛が慢性化する可能性があるだけでなく、免疫機能を弱めることにもなり兼ねません。

2.慢性炎症

なんらかの原因により、炎症が完全に収束せずに持続・慢性化した状態を慢性炎症といいます。

問題となるのは、この慢性炎症!

慢性炎症では、発赤、腫脹、熱感、疼痛などの徴候が必ずしも起こり得ず(自覚症状のないサイレントキラー)、緩やかな反応が継続します(目安:6ヶ月以上)。

炎症の詳しいメカニズムについては、病理学の専門的な話になるので今は端折りますが、、

炎症により損傷された箇所では、治癒の過程で、線維芽細胞などが増殖し元の細胞と置換されます(線維化)。通常の炎症であれば、健全な組織が再生することにより、過剰な線維化は起こらず、速やかに炎症前の状態へと回復します(炎症の収束と治癒)。

参考:炎症収束因子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/36/3/36_156/_pdf

ところが、慢性炎症では、一時的に起こるはずの線維化が止まらなくなり、これが病的な進行を続け、様々な機能低下を引き起こします。

線維化は心臓や肺、肝臓、腎臓、膵臓など、脳以外のほぼ全身の主要な臓器で発生します。

【線維化による影響の例】
線維化を起こした臓器は、最終的に機能不全に陥ります。

心筋の線維化
>> 拡張型心不全や不整脈、突然死の原因にもなり得る。

肝臓の線維化
>> 肝硬変につながり、様々な症状を引き起こす。

肺の線維化
>> 酸素が取り込みにくくなり、息苦しさを感じるようになる。

他にも慢性炎症は、DNAを傷つけ、老化、関節リウマチなどの自己免疫疾患や動脈硬化、メタボリックシンドローム、糖尿病、アルツハイマー病、COPD(慢性閉塞肺疾患)、ガンなど種々の病に関わることが明らかとなっています。

3.肥満と炎症の関係について

慢性炎症は、ケガやウイルスなどの侵襲的な刺激がなくても起こります。そのひとつが肥満です。

肥満によって脂肪細胞が大きくなり過ぎるとやがて死んでしまい、これを分解するためにマクロファージなどの免疫細胞が脂肪組織に集まることで炎症を引き起こします。

急性炎症では、原因となっている刺激や異物が排除されることで反応も収まり治癒されますが、肥満の体では原因となる脂肪細胞をすぐには排除できません。つまり、肥満が継続する限り、体内では常に炎症が起きていることになります(炎症の慢性化)。

そして、慢性炎症があると、体内のインスリンの効きが悪くなるため(インスリン抵抗性)、それでも糖や脂肪を多く摂り続けると、血糖値を調整しようとしてインスリンが大量に分泌され、脂肪の合成が促進されるので、さらに脂肪が溜まります。

脂肪の摂り過ぎ→肥満→炎症→さらなる脂肪の蓄積→(肥満→)炎症・・・ という悪循環

参考:脂肪組織と慢性炎症
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/54/7/54_7_480/_pdf

4.加齢と炎症の関係について

加齢に伴う老化は、免疫の機能を低下させるため(免疫老化)、ウイルスなどに感染しやすくなり、一方で炎症が容易に誘導され、さらには慢性化する(炎症老化)ことが分かっています。

また、老化による炎症は、老化細胞の蓄積が要因のひとつで、老化細胞を除去した個体は寿命が延伸することも明らかになっています。

老化細胞は、炎症反応を持続的に引き起こし、その結果臓器の機能を低下させ、糖尿病や動脈硬化、ガンなどの原因ともなります。

ただし、老化細胞は老齢期であっても傷害のない筋組織にはほとんど存在しないか、非常に少ないため、必ずしも加齢=老化細胞ではありません

参考:
慢性炎症を科学するシリーズ https://x.gd/VcuqC
慢性炎症と加齢関連疾患
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/54/2/54_105/_pdf

ここまでは前置き。
次回は、慢性炎症を防ぐためにはどうしたらいいかというお話をします。

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