病気にならないための3ヶ条 その3です。
【人体はテンセグリティ構造物】
テンセグリティ (tensegrity) とは、
「tension(張力)」と「integrity (統合)」を合わせた造語で、棒や板などの圧縮材と細い針金や紐状の張力材を組み合わせることで互いに支え合い、安定する構造のこと。
圧縮材同士は、互いに接触することなく張力材で引っ張り合うことでバランスを保っている。
テンセグリティは建物に限らず、橋などさまざまな建築に使われています(スカイツリーにも!)。
今まさにタイムリーな大阪・関西万博でも見られます※1。
また、建築以外にも、デザインやロボットなど、幅広い分野で応用されています。
例えば、デザインでは斬新なオブジェや家具を作成したり、ロボットでは軽量で可動範囲の広い機構を作成したりすることができます。
Q:テンセグリティ構造はなぜ広く用いられているのか?
A:圧縮材だけでもある程度の強度は得られるが、そこに張力材を組み合わせることで、負荷が分散され、さらに大きな衝撃に耐えられるようになるから。
『柔よく剛を制す』という言葉もありますが、さまざまな衝撃に耐えるためには、硬さ(圧縮材の剛性)だけでなく、柔らかさ(張力材の柔軟性)も必要ということです。
テンセグリティの利点は他にも
◾️少ない材料で安定した構造を形成できるため、「軽量」化が可能。
◾️張力材が圧縮材を支えることで、一般的な構造と比べて「剛性」が高い。
◾️圧縮材が張力材によって支えられているため、衝撃を吸収しやすく、「弾力性」がある。
◾️張力材の張力を調整することで、構造の形状や剛性を変化させることが可能(可変性)。
などが挙げられます。
また、外観的にも、テンセグリティは、少数の材料で、まるで宙に浮いているかのような美しい構造を作り出せます。
そんなテンセグリティの概念・定義は、1950年代に建築家のバックミンスター・フラーによって提唱されたものですが、その構造自体は太古より人体に備わっているものです※2。
人体構造にあまり詳しくない方などは、もしかすると「骨と骨ってつながってるじゃん!」と思うかも知れません。ですが、骨と骨の結合部である「関節」を見てみると、骨同士は接触していないことがわかります。
例えば、下のホネホネくんの赤丸部分(左膝関節)の構造を見てみると、、
下図↓のようになっています。
(オレンジ色の部分が骨、赤は筋肉、青は軟骨、黄緑が腱や靱帯)
(正面の絵に膝蓋骨がないのがとても気になりますが、、)
骨(圧縮材)同士は接触することなく、筋肉や腱・靭帯等の軟部組織(張力材)によって引っ張り合う、テンセグリティそのものですよね!
人体は、筋肉があるから動く(骨だけでは動けない)のだということを理解している方は多いと思いますが、骨だけでは、動くどころか自立すらできません。もっといえば、理科室にあるような骨模型は、関節部分を金具でとめてあるので形になっていますが、本物の人体は、骨だけではヒトの形をつくることすらできません。
ということで、、
人体=私たち人間にとって一番身近なテンセグリティ構造物
少ない材料で、大きな衝撃に耐え、美しくて安定した構造物
ああ、やっぱり人体って素晴らしい!!
※1…建築ネットマガジン「BUNGA NET」
https://bunganet.tokyo/sasakikei/
ポップアップステージ(北)の位置は 万博map で確認できます。
※2…AMATOMY TRAINS
https://anatomytrains.jp/tensegrity/
参考:
https://www.archdaily.com/893555/tensegrity-structures-what-they-are-and-what-they-can-be
東京理科大学「建築構造デザイン」公開教材より
https://note.com/tus_ito_labo/n/n325313667b41
↑半分より下ぐらいにテンセグリティ構造の美しい建造物写真がたくさん載ってます。
↓これもなかなか面白かったです↓
東京大学公開講座「ホネ」
https://tv.he.u-tokyo.ac.jp/lecture_4203/